竹島のヨットレースに抗議 そして、アリランレースのエントリー受け付け始まりました

Talk on Breeze : Vol.10 インタビュー

JSAF外洋玄海(玄海ヨットクラブ)会長 末松明
「on Breeze」運営スタッフ 高槻和宏
2012/10/19


新聞報道によれば、韓国が島根県の竹島でヨットレースを開催しているらしい。そこらのお話を、アリランレースを主催する玄海ヨットクラブ末松会長から伺いました。
アリランレースの方は着々と準備が進み、エントリー受付てます。

末松 — 前に話した、アリランレース2013のエントリー受付開始しました。

高槻 — これですね。
http://www.genkai-yc.com/pc/arirang.php
公示はこちら。
http://www.genkai-yc.com/pc/2013/2013ArirangNOR.pdf

来年のゴールデンウイーク。5月1日~5日、と。
「Log on Breeze」でも紹介しておきました。

最近、竹島問題で日韓関係が悪化していて、こういうイベントも大変でしょう。

そうなんよね。ただ、今のところ問題は起きていません。
毎年行われているKSAF(韓国ヨット連盟)主催の「独島(竹島)レース」も例年通りやったようです。

— それそれ。新聞見ましたよ。
「竹島で国際ヨットレース 日本政府が韓国に抗議」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120524/kor12052401200001-n1.htm

それね、記事では「今年で5回目になるが日本の抗議は初めて」って書いてあるけど、数年前に日本から抗議出してます。

— 韓国側の記事、みつけました。英語版。「コリアカップ国際ヨットレース」っていうんですね。

2012年は、5月18日から23日までかな?
「世界10ヶ国から200チーム、420人以上が出場する韓国で一番大きな国際ヨットレース」
と書いてあります。
日本海に外洋ヨットを200艇集めるのってすごいなと思ったけど、大会ホームーページに出ているリザルト見ると、ORCクラスが6艇。うち最後までフィニッシュしたのが5艇。オープンクラスが14艇で10艇フィニッシュ。
まあ、この竹島レース以外にもイベントはあったんだろうけど。記事では10ヶ国200艇が竹島でヨットレースをやったように書いてある。
10ヶ国といっても、リザルトみると、ほとんどがロシア艇で、米国が4艇。これ、在韓米軍の人達かなと思ったんだけど、クルーリスト見るとスキッパー以下ほどんどが韓国名みたいだし。韓国艇でフィニッシュしたのは2艇……かな? 他の国籍のチームは見当たりません。

なんかリザルトも分かり難いよね。
動画もあって、全部ハングルなので内容は分からないんだけど、ボルボオーシャンレースやアメリカスカップの映像と絡ませて本格的な国際レースと錯覚します。

— ああ、なんだか分かりやすいなぁ(笑)

「アリランレース」の方は釜山ヨット協会(BSAF)との共同主催なわけでね、BSAF側では「コリアカップ」の開催に日本から抗議が出ているのを知ってるわけ。だからその点に気を遣ってくれていて、我々のところにはレースの案内は来ないけどね。

— ああそうか。「コリアカップ国際ヨットレース」の方は、KSAF(韓国ヨット連盟)で、「アリランレース」は釜山ヨット協会(BSAF)と玄海ヨットクラブの共同主催ってことですね。

韓国は中国ほどではないにせよ、小学校から「独島はわが領土」を叩き込まれてきているわけで、その中で、BSAFの人達は「日本もそれなりの主張があって『独島は日本の島』と思っているみたいだよ」という認識を持ってくれているんだよね。韓国の中で、こういう人は非常に少ないと思いますよ。
20数年前、当時ただ一つのクルーザー団体の会長から
「独島レースを企画しますから日本も参加しませんか」
と誘われたんだけどね。
「出ましょうか。でも竹島は日本だから韓国の人はパスポートが必要になってきますね」
と言い返したらそれ以来何も言って来なくなった。


それすごい。

この件以来、「玄海のヨットマンに独島はタブー」が定着したみたいで、向こうの方が気を使ってこの問題は避けてる感じ。BSAFのメンバーも冷静で紳士的に振る舞ってくれてます。
だから玄海ヨットクラブでも、竹島問題には触れないできたんだけど。

— おお、なんかBSAFのファンになってきた。
アリランレースの歴史は40年ですもんね。

そんな玄海ヨットクラブとBSAFの友好関係を知らないソウルのKSAF(韓国ヨット連盟)から、「コリアカップ(竹島レース)」の招待状を送りつけてきたわけよ。数年前に。

— ふむふむ。

で、JSAFの児玉さんに連絡して、防衛省を通じて抗議して貰ったわけ。外務省は「竹島に領土問題は存在しない」といって受け付けてくれなかったみたいよ。
そのとき動いてくれたのが、石原伸晃議員で。

— なるほど。産経の「今年初めて抗議」ってのは間違いってことですね。

「コリアカップ」は、国際レースと銘打って今年で5回目。
政府、地方自治体、海軍、テレビ局、新聞社、KOC(オリンピック委員会)、大手企業などがスポンサー、協力団体になっての賞金付きレースで、半年以上前からテレビやポスターなどで派手に宣伝してたね。ハングルだから日本人は気が付かないと思うけど、釜山のデパートやファッションショップでもよく見かけた。


スポーツを、ヨットレースを、こういう政治的なプロパガンダに使うのはケシカランですよね。

そうそう、「アリランレース」もね、BSAFからは「アリラン国際レース」に名前をかえましょうって言われたことがあるのよね。JSAFからも同じことを言われたなぁ。
でも、自分としてはこれからも、「日韓親善レース」を変えるつもりは無くて。

— えーっと、正式名称は、「日韓親善アリランレース」ですね。

「国際レースとは名ばかり」って、一番恥ずかしいじゃない。
自分たちの背丈にあったレースをやっていくつもり。他のスタッフも同意見だと思いますよ、多分。

— 参加艇数を水増しするとか……ね、論外ですよね。デモじゃないんだから(笑)

ただね、来年のアリランレースは、やっぱり国際問題が絡んでいるからね。スポンサーの腰が引けているのは事実。
でも、うちのは草レース。スポンサーなしでもやれる体制なのでいつもと同じように開催するつもりです。やばいと思えば1年延期すれば済むことだから、無理はしません。国際レースだとそうはいかんでしょう。

— なるほど。
ということで、来年、ゴールデンウイークは、「アリランレース」へ是非どうぞ、ということですね。

そういうこと。皆様よろしくお願いします。