– ボルボオーシャンレース Leg-10
〈ブルネル〉優勝 上位3艇同点で並ぶ

海外レース情報
2018/6/18


昨年(2017年)10月22日にスペインのアリカンテをスタートした「ボルボ・オーシャンレース 1027-2018」は“ラス前”のLeg-10(カーディフ→ヨーテボリ:1300マイル)が終了。

6月14日。20:42:01(UTC)。オランダの〈ブルネル〉が接戦を制してこのレグ優勝。〈マフレ〉が2位に入り、〈ドンフォン〉が4位。

ということで、最後のLeg11を残してここまでの得点合計は、

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L1 L2 L3 L4 L5 L6 L7 L8 L9 L10
2 1 1 4 * 3 5 1 5 2 65点 マフレ
6 4 4 5 * 6 1 2 1 1 65点 ブルネル
3 2 2 2 * 4 2 4 3 4 64点 ドンフォン
4 5 7 3 * 1 3 5 2 3 53点 アクゾノーベル
1 3 3 ret dns dns ret 3 4 6 38点 ベスタス
5 6 5 1 * 2 ret 7 7 7 30点 スカリーワグ
7 7 6 6 * 5 4 6 6 5 29点 TTOP
数字は順位。高得点方式で、Leg-3,7,9は得点が2倍。
各レグ首位は+1。ケープホーン首位通過も+1のボーナス。




全レグ所用時間の合計が最短のチームにはボーナス1点が加わることになっていて、ここでは〈ドンフォン〉が20時間ほどリードしトップ。最終レグは約700マイルと距離が短いので普通に走ればこのまま〈ドンフォン〉にプラス1点加算される可能性が高く。

……と考えると、トップ3艇は同点で最終レグを迎えることになります。

いやー、すごいことになってきました。


Leg-10は、6月10日、英国(ウエールズ)のカーディフをスタート。

軽風下、〈ドンフォン〉がトップでファーストネット・ロックを回航します。

続くアイルランド西の海域も、弱く、気まぐれな風の中北上するフリート。

https://www.volvooceanrace.com/en/news/11918_Daily-Digest-Wednesday-13-June.html

軽風時はかなり前に乗らないといかんのですね。

と、高気圧を回り込んで大きく西に出したところで、〈マフレ〉が東側から前に出ます。


{2018-0612-2002}

その後、いきなりの強風に。

なんといってもフィニッシュ地点のイエーテボリ(ゴーセンバーグ)は北緯57度42分。途中、英国(スコットランド)の北を回り込む辺りでは北緯60度くらいまで北上してます。
これ、日本の近くでいえば、樺太の北端でも北緯55度くらいですから、オホーツク海の北端くらいの高緯度なわけで。

〈マフレ〉、〈ドンフォン〉、〈TTP〉、〈ブルネル〉、〈アクゾノーベル〉、〈ベスタス〉の順でほぼひとかたまりになって北海に。
……というところで〈ブルネル〉がジワジワ順位を上げていきます。

ここから〈ブルネル〉が爆走し〈マフレ〉に追いつき、追い越していきます。

強風、そのうえ雨で視界も悪く、といった状況でのラストスパート。そしてフィニッシュです。


6月17日にはヨーテボリでインポートレースが行われ、これがまた大白熱。

この狭い海面でリーチングで行ったり来たりのコースじゃ、危なくてしょうがない。

で、こちらは〈ベスタス〉が優勝。

〈マフレ〉はこのレースでもしっかり3位に入り、
インポートレースのシリーズ総合は、6月30日のハーグを残して〈マフレ〉の優勝が確定しました。


そして今週。
6月21日にLeg-11スタート。
最終目的地である、オランダのハーグを目指す約700マイル……なんですが、途中デンマークのオーフス(Aarhus)の沖にマークを打ってそこを回る……と。

おそらく、当初このレグを設定した時点では、ここではすでに総合優勝が決まっていて最後のパレード的なレグにするイメージだったのかもしれません。ツール・ド・フランスの最終ステージ、シャンゼリゼのように。

なのに、上位3チームが同点で最終レグを迎えるなんて。

潮もあり、地形の影響で風を読むのも難しそう。シーブリーズとランドブリーズ。完ベタからドン吹きまで。何があってもおかしくない最終レグから目が離せません。

公式webページは→こちら
トラッキングもあります。


第7レグから、1位-2位-1位-1位と絶好調の〈ブルネル〉ですが、その第7レグから乗っているのが、Nina Curtis(豪:30歳)。2012年のロンドン五輪、Elliott 6mのマッチレースで銀メダル。
2010年のAustralian Female Sailor of the Yearに選ばれているアイドルセーラー……なんでしょうけど、〈ブルネル〉チームは容赦無く、初赤道通過儀礼でバリカン入れられてます。

〈ブルネル〉にとっては、まさに勝利の女神という感じ。

五輪で銀といっても、これ、マッチレースなんで、ファイナルではスペインに負けているわけで。

そのとき勝って金メダルとなったスペインチームが、今〈マフレ〉に乗っているTamara Echegoyen(スペイン:34歳)なわけで……。

〈ブルネル〉にPeter Burling、〈マフレ〉にはBlair Tukeと五輪金銀コンビが分かれて乗っており。

と、因縁浅からぬ……というか同門といっても良いかもしれない両艇です。

さあ、いったいどうなるのか?

来週のこのコーナーでは、すべて決着していると思われます。