海外レース情報
2021/01/19
「第36回 アメリカズカップ」(3/6-3/21:オークランド、ニュージーランド開催)の挑戦艇を決める「プラダカップ」のラウンドロビン(総当たり戦)が始まりました。
公式webページは→こちら
総当たりといっても、挑戦チームは米、英、伊の3チームだけ。
1日2レースが行われますが、となると、どこか1チームだけが1日2レースやらなきゃならないということになります。
■ 初日:1/15(金)
快晴 8-15ノットという絶好のコンディションの中、英国の〈INEOS TEAM UK〉が2レース行い、2レースとも完全勝利。
防衛艇のニュージーランド〈EMIRATES TEAM NEW ZEALAND〉も加えて4チームで開催された12月の「プラダ・アメリカズカップ・ワールドシリーズ」では、 “1弱” とも評価された英国チームでしたが、見違えるような走りで、いったい何が変わったのか?
レース後、解説のケン・リードが「フォイルの形状が変わったんじゃ無い?」と、英国チーム代表でスキッパーのベン・エンズリーに質問すると、「リグもセールもラダーもエレベーターもフォイルもそれらのコントロールシステムも……全部変えた」とぶっきらぼうに答えています。
まあ、ここでその秘訣をしゃべる訳ないですね。
■ 2日目:1/16(土)
風が非常に弱く、フォイル艇にとってはギリギリの開催条件。
この日は、米国の〈NEW YORK YACHT CLUB AMERICAN MAGIC〉が2レースなんですが……。どちらもスタートから全く冴えず。2敗を喫します。
どうしちゃったんだ、アメリカン。
■ 3日目:1/17(日)
ラウンドロビン3日めは、昨日と打って変わって12ノットから20ノットの強風に加えて雨というサバイバルコンディション。
こんな日に 2レースやらなきゃならないイタリア〈LUNA ROSSA PRADA PIRELLI TEAM〉は不運です。
それも、1レース目(英国戦)は途中で風が大きくシフトしレースは中止……というかやり直しに。イタリアがリードしてたのに。おまけに、やり直しの英国戦では負けてしまいます。
これで英国は4戦全勝。
続く2レース目、というかイタリアチームにとってはこの日3レース目といってもいいのですが。疲れが出たか、スタートは良かったものの、みごとなリーバウタックを決めた米国チームに抜き去られ。おまけにコースをはみ出てペナルティーも食らい。米国が圧倒的にリード。
これで英国4勝、米、伊共に1勝3敗か……と思われた〈AMERICAN MAGIC〉ですが、最後の上マーク回航直後に大きく宙に舞ったかと思うとそのまま横倒しに。
解説のネイサン・アウタリッジは「セーフティーにベアウエイして右のマークを回航すれば良かったのに」と言ってますが、〈AMERICAN MAGIC〉はタックして左のマークを回り、そのままベアウエイしようとしたところシモ(左舷)のランナーが出ず、メインセールがひっかかったか……とケン・リード。
すぐに、各チームからもチェイスボートがかけつけ、乗員に怪我はありませんでしたが、船体左舷側に大きな穴があいており、艇を起こしたところで大量に浸水。沈没寸前でした。
四角い穴なので、左舷側のフォイルを上げ下げする駆動装置が船内側に抜け落ちたか。
ランナーが出なかったというより、ポート側のフォイル駆動装置がふっとんで、そのまま左に倒れたのか?
この↑動画だと22:20くらいから。
転倒シーンを抜き出した動画がこちら↓にも
艇が浮き上がったときに、左舷のフォイルが後ろに傾いているように見えるのですが……。
艇の修理には10日はかかるとのことで、1/22、1/23、1/24に予定されている残りのラインドロビンは欠席。
ラウンドロビンで最下位(3位)となっても、続くセミファイナル(1/29-2/2)には出られます。
ここで、ラウンドロビンで2位になったチームを下せばいいわけで。
とはいえ、かなり大きな損傷のようなので、原因究明も含めてここから10日はチームは大わらわです。
■ 何があったのか
翌1月18日。〈AMERICAN MAGIC〉のスキッパーでExecutive Directorでもある、Terry Hutchinsonが記者会見を行いました。
詳しくは→こちらで。
一方、アメリカズカップとは対局にある、シングルハンド・無寄港・世界一周レース「ヴァンデグローブ 2020-2021」の方がもう大変な接戦になっておりまして。
公式webサイト[英]は→こちら
2ヶ月以上にわたる勝負は、いよいよ今週が山場かも。なんか、毎週毎週 “山場” だって言ってますけど。
日本語版「ヴァンデグローブ2020実況」に順次アップしています。
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