Talk on Breeze : Vol.16 インタビュー
昨年5月、40周年を迎える「アリランレース2013」が行われ、主催する玄海ヨットクラブの末松会長から事前予告を何度かこちら「Talk on Breeze」でお伝えしました。
で、レースを総括して、再び末松会長からお話を伺いました。
JSAF外洋玄海(玄海ヨットクラブ)会長 末松明
聞き手:「on Breeze」編集スタッフ 高槻和宏
2014/01/17
末松:報告遅れてすいません。
高槻:いえいえ。でも、直前トーク、以来です。
(対馬の観音寺から仏像盗まれる→Vol.13参照)
で、仏像はまだ帰ってこない?
そうそう、それもあって。
未だに仏像は帰ってこないので、田中和尚はかなりご立腹でして。
— そりゃそうですよね。
あと、みなさまご承知のように、釜山までの回航中に落水死亡事故もありまして、レースの方は無事に終わったんですけど、なかなかレースの報告をしにくい状況になっちゃって。
— ふむふむ。
改めまして、「2013年 第21回 日韓親善アリランレース」はエントリーが29艇。
IRCは18艇(〈メタクサ〉含む)。 完走17艇。
OPEN10艇。完走10艇。
CRS1艇。完走1艇。これはクルージング部門で出入国手続きを一緒にやり、パーティ参加OKの艇です。
穏やかな天候で、逆に風が無くて困ったくらいです。
アリランレースの公式ホームページは→こちら
— 地元博多や釜山のヨットばかりか、関西、中部、関東からも参加艇があるの、すごいですよね。
関東から釜山までの回航だけでも相当の長旅で、ゴールデンウイークって、時化るときは猛烈に時化ますもんね。
同時期に「2013 神戸・横濱ヨットレース」もあったのに、これだけの参加艇があったのは嬉しかったです。
— 政治的には日韓関係が悪化している中で、これですから。
外洋レース熱復活、って感じですか。
そうですね。
そして、釜山までの回航で落水死亡事故が起きてしまったわけですが。
— 「事故報告書」見ました。外洋安全委員会のホームページにアップされてました。 >>Click(PDF)
JSAF外洋安全委員会のホームページは→こちら
当該艇は玄海ヨットクラブの会員艇ではないんでしょ?
そう、福岡ヨットクラブの艇です。
レース中の事故ではないし、外洋玄海のメンバーでもないわけで。
報告書自体は、表紙にあるように、福岡にある4つの団体で作成しました。
博多ヨットクラブはJSAF非加盟の任意団体ですが、福岡(小戸)で外洋玄海と同じようにレースを主催運営するグループなので、そちらも連名になっています。
— JSAF側から「事故報告書」の提出を求められてた訳ですか?
そうなんですが、玄海ヨットクラブ(外洋玄海)の理事会では「所属艇でもないのになぜ我々の会長が事故報告を出さないといけないのか?」という反対意見も出ました。
でも、今後、同様の事故を防ぐためには、「何があったのか」を明らかにして残すべきだと考え、最終的には私の名前で提出してあります。
誰にどんな過失あったかを問うものではなく、あくまでも「再発予防についての考察」として、やはり表に出すべきだなと判断しまして。
— なるほど。
たしかに、報告書を読むと、自分自身も改めて考えなければならない部分がいろいろ思い当たります。
「なんで?」と思う部分もあるし。
そう。私自身も解せない、おかしな(矛盾した)点がいくつか残るのですが、ここはあら探しは本意ではないし、事故の全容解明なんてこともできないし。
— そういうのも含めて、事故ではいろいろな要素が複雑に絡み合い、その場にいないとわからない、あるいはその場にいた人にも説明しきれないようなことが起きるんでしょうね。だから事故になるともいえるわけで。
そんなこんなで、時間がかかってしまいましたが、海難審判も終わったところで「報告書」としてまとめJSAFに提出することにしました。
— きわめて有益な内容だと思います。
全国のセーラーの皆様にはじっくり読んでいただいて、自分自身に当てはめて考えていただき、事故予防に繋げて欲しいですね。
そうそう、あと、インショアレースですが、「タモリカップ」。
昨年は福岡大会も企画されていて、私どもの玄海ヨットクラブも「協力」という形になっていたのですが、なんか決まったときにはすでに公示ができていたという状況で。
こちらの安全対策を私は心配しています。
— 初心者向けのレースだから安全かというと、逆ですもんね。
自分も初心者なら周りも初心者ばかりで。おまけに、ヨットって風が吹いていれば勝手に走ってしまう乗り物だし。
参加艇が多ければいいってもんじゃないと思います。
そうそう。結局、誰がレース運営するのかというと、福岡なら玄海ヨットクラブということに?
2月の外洋合同委員会で何か話し合いがあるかもしれませんのでしばらく様子をみることにします。
— はい、それではそのあたり、今年も「Talk on Breeze」に情報お寄せください。
わかりました。
今年もよろしくお願いします。