海外レース情報
2023/05/02
– いきなりのディスマスト〈Holcim – PRB〉
フルクルー・ステージ制の世界一周レース「The Ocean Race 2022-2023」は、4月23日、第4レグ(イタジャイ-ニューポート)がスタート。
ここまで総合ポイント第1レグ1位-第2レグ1位-第3レグ中間ポイント1位-第3レグ2位で総合首位を独走している〈Holcim – PRB〉は、この第4レグでも先頭を走ります。
海底油田が点在しているようで、いくつもの進入禁止ゾーンが設定されており、5艇は岸よりを進みます
そしてスタート5日後の4月27日。05:00(UTC)現地時間02:00。〈Holcim – PRB〉がディスマスト。
15-18ノットの上りというまったく普通のコンディションですが、展開していたJ2のファーリング・スイベルが飛んだようです。
IMOCA60のマストはワンデザイン、つまり全艇同じ仕様で、J2用のステイが通常のヨットでいうフォアステイのようです。
その前にフライングでJ1を、後ろにJ3を展開する、と。
長大なアウトリガーで支える回転マスト……ってことはオンデッキ・マストってことですよね。これでフォアステイが飛んだら、そりゃ簡単に倒れますね。
折れたマストは真後ろに倒れ、コクピットハッチをふさいでしまったもよう。
〈Holcim – PRB〉はこの第4レグからスキッパーのKevin Escoffier以外は全員入替。理由はよくわかりませんが。で、この予期せぬ事故。
リオ・デ・ジャネイロに向かってジュリーリグで大急ぎ……っていっても艇速は3ノット程度のようですが。
スペアのマストをリオに送り、リオでマストを立てて再びレースに復帰。
なんとか5月21日の第5レグスタートに間に合わせる、という作戦です。
ジュリーリグでリオに向かう
第4レグのスタート時点の得点は以下、
第3レグは中間に加点ポイントがあるので、こうなってます
boat | leg | total |
---|---|---|
〈Holcim – PRB〉 | 5-5-5-4 | 19 |
〈Team Malizia〉 | 3-2-4-5 | 14 |
〈11th Hour Racing Team〉 | 4-3-3-3 | 13 |
〈Biotherm Racing〉 | 2-4-2-2 | 10 |
〈GUYOT environnement – Team Europe〉 | 1-1-Ret | 02 |
ということは、この第4レグで最下位(1点)になっても合計20点で、ここまで総合2位の〈Team Malizia〉がトップをとって5点追加でまだ19点です。
仮にここでリタイヤして、リオからニューポートまで船積みにしても、得点は0点ですから、まだまだ、大会としては振り出しにもどったことになるわけで。
……が、どうもリオ→ニューポートなんて商船のルートはほとんど無いようで、船積みは難しいと言ってます。
さあ、どうするか。
ちなみに、このレース、タイムリミットはありません。
スタートも、スタートラインを撤収した後も、帆走指示書にあるスタート地点やマークの緯度経度に合わせて走って航跡を画像として残せばオッケーのようです。
残る4艇は集団となって北上中。まだまだこの先ドルドラムやらなんやら勝負どころは多いですが、
なんかこの第4レグ。レース中の4艇よりも、ロジスティック含めた〈Holcim – PRB〉チームの動きの方が気になります。
というところで〈Holcim – PRB〉はリオに到着。
火曜日発のアメリカ行きの船便を確保。16日かけて5月18にニューポートに着く予定。マストはヨーロッパから。ニューポートには5月9日か10日に到着。
第5レグ(これもダブルポイント)のスタートが5月21日。48時間でスタート準備しないと。
と綱渡りの〈Holcim – PRB〉です。これもレース。
The Ocean Race 大会webサイトは→こちら